「明治時代の京町家」リノベーションの様子

 

昨年から改装を行っていた京町家がようやく工事完了を迎えます。

正確な築年数は不明ですが、明治時代に建てられたと思われる2階建の京町家です。落ち着いた通りに面しており、室内は十分な広さがあります。縦にミセノマ・中の間・ダイドコ・座敷の4室が並び、その奥に坪庭を構える典型的な京町家の間取りを有していました。

この町家の持つ趣を生かすため、縦に居室が並ぶ間取りをそのまま残して改装しています。天井は既存の大和天井・竿縁天井ともに比較的状態が良く、幅広で質の良い天井板が使われていたため、最低限の修復のみ行い、年数を経た材にしか出せない艶や質感を生かしています。

座敷の既存の床柱は、現代では希少な赤松をそのまま利用。元は床柱に食い込むように造作棚が設置されていましたが、造作棚を撤去し、古材と竹を使ったシンプルな吊り棚をつくりました。

ダイドコには元々この場所に残されていた小さな箱階段を設えています。箱階段も建物と同じく明治のものと思われるため、経年変化による劣化がありましたが、丁寧に解体・修復して再生しました。一応箱階段から2階へ上がることも可能ですが、勾配が非常に急で踏面も狭いため、この家の歴史を感じられるインテリア的な要素としてディスプレイしています。垂れ壁の後ろにスポットライトを仕込み、箱階段を印象的に照らすよう工夫しています。

 

2階の居室から階段を見下ろしたところ。
階段部分は京町家の火袋を模した吹き抜けの空間にしています。天窓を設け、暗くなりがちな町家の中央部分に光を落としています。階段横の壁は既存の柱をあらわし、既存の壁の凹凸をそのまま残した上で修復しています。天窓からの柔らかい光が凹凸に描く陰影は、時間や陽の入り方によって刻々と変化し、一日中眺めていても飽きることがありません。

 

2階の階段奥には小さなテラスのような余剰空間を設けています。
当初は居室にする予定でしたが、火袋(吹き抜け)の趣を残すために壁を造らず、手摺越しに階下を見下ろす遊び心のあるスペースにしています。背面には既存窓をそのまま残しているため、光が射し込む明るい空間です。

これから畳や古建具、唐紙襖が入り、改装完了となります。
完成まで今しばらくお待ちください。

※誠に恐れ入りますが、販売前の物件詳細等についてのお問い合わせにはお答えしておりません。何卒ご了承下さいますようお願い申し上げます。