京町家の京唐紙

町家のリノベーションにおいて、襖紙は室内装飾の重要な要素となります。
弊社のリノベーション京町家では、襖紙に京唐紙をしつらえています。

唐紙とは、奈良時代に中国の唐から伝わった、美しい文様の装飾された紙のことです。
平安時代には当時の都であった京都で「京唐紙」として発展し、貴族や僧が文字を書くために使用していましたが、時代と共に襖や屏風等の室内装飾としても用いられるようになったとされています。

弊社がよく使わせていただくのは、京唐紙の老舗企業「京からかみ 丸二」さんの京唐紙。

京からかみ丸二さん ウェブサイト

絵具を塗った版木に紙を重ね手の平で紙を摺り文様を写しだす、伝統的な手刷りの技法で唐紙を作製されています。

アフター6

 

写真は弊社リノベーション物件「上京区の京町家」しつらえた、「光琳松」と呼ばれる文様の唐紙の襖。

松の木をデフォルメしたどこかユーモラスな光琳松の文様は、江戸時代を代表する絵師、尾形光琳らの絵柄をアレンジした「光琳文様」と呼ばれるものの一つ。
自然の草花や生物をモチーフにした慎ましやかな光琳文様は町家によく合うとされ、特に町民の間で好んで使用されてきました。

この唐紙を見た時、松の文様一つ一つの自然な濃淡と控えめな立体感の美しさに驚きました。
よく見るとどの松もそれぞれ表情が異なり、ユーモラスな姿も相まって、まるで生物のようです。全体を眺めるだけでなく、文様一つ一つにじっくり見入ってしまいました。

人が手の平で紙を刷る手刷りの技法にしか生み出せない、温かみのある美しい唐紙です。