Overview about this real estate
銀閣寺参道を起点に東山のふもとを南北にはしる哲学の道。桜と新緑、紅葉の名所として知られ、観光シーズンは多くの観光客でにぎわいます。
その哲学の道からわずか徒歩1分。哲学の道から続く緑豊かな小道を進んだ先、町家が軒を連ねる美しいろおじ(路地)に佇む一軒の京町家をリノベーションしました。
一歩足を踏み入れると、観光地の喧騒がうそのように静寂に包まれたろおじ。縁側の窓を開ければ、聞こえてくるのは鳥のさえずりと葉擦れの音だけ。室内にはこの規模の町家としてはめずらしく、床の間が三か所しつらえられており、周囲の静けさと相まってこの町家の空間を特別なものへと高めていました。
リノベーションコンセプトは「哲学の道の隠れ家」。
観光名所のそばにありながら静けさに満ちたこの町家で、三か所の床の間に花を活け、坪庭を眺め、鳥のさえずりを聞く。日々の喧騒を忘れる非日常の世界が広がる、隠れ家のような京町家です。
Point about this real estate
三つの床の間、
静謐の京町家。
もてなしの床の間
玄関土間横の和室の床の間。表の通りに面した部屋のため、簡易な来客の場としても使われてきました。内障子が外からの光を柔らげ、ほの暗さの中で、照明に照らされた床の間がその印象的を強めています。
土間との間を仕切る建具を開けはなつと、正面に見える床の間が来客を出迎えます。大振りの花を飾り、家人や来客の目を楽しませる空間として。
座敷の床の間
最奥に位置する座敷の床の間。元々この町家に残る雪見障子からは、縁側越しに風情ある坪庭をのぞみます。座敷は家人の生活の場、または親しいお客様をもてなすための特別な空間として使われてきました。3か所の床の間のうち、この床の間にのみ北山杉の絞り丸太が使われていることからも、家人がこの座敷を特別な空間としていたことが伺えます。
プライベートな床の間
2階和室の床の間。この和室は寝室や書斎、趣味の部屋などにぴったりの、完全なプライベート空間。床の間にはお気に入りのアート作品や西洋絵画、雑貨を飾って、自分らしく自由に空間を演出する楽しみがあります。
Point about this real estate
隠れ家で過ごす
非日常。
光悦蝶の京からかみ
座敷の床の間横の押入襖は、明治創業の老舗企業「京からかみ丸二」さんの京唐紙をしつらえています。文様は光悦蝶。やや暗く青みがかった鳥の子を原紙、金銀を摺り色とし、夜霧に蝶が舞っているかのような幻想的な京唐紙です。普段はひっそりと座敷に馴染む光悦蝶ですが、蝶に摺られた雲母(きら)が坪庭からの光を受け、時折はっとするような輝きを見せます。床の間横に佇む京唐紙が、静寂につつまれた座敷の非日常感を高めます。
空間に奥行を生む
無垢フローリングをあしらったダイニングキッチン。天井と床に木材をふんだんに使い、木のぬくもりが心地良い空間に。ダイニングキッチンと奥の座敷は現代風のワンフロアにせず、あえて元の間取りを踏襲して仕切ることで、空間に奥行が生まれています。DKと座敷を仕切る古建具は京都の古建具店で買い付けたもの。凝った木の細工がインテリアのようにシンプルなダイニングキッチンのアクセントになっています。