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京都の名所に囲まれた場所にたたずむ京町家。
明治末期-昭和中期の文豪、谷崎潤一郎が暮らした家です。
生涯で40回以上もの転居を繰り返した谷崎ですが、そのうち昭和21年5月から11月までの半年間、ここ上京区鶴山町の京町家の2階を間借りし、家族らとともに暮らしていました。
谷崎は、2階の部屋にある小さな机で執筆し、1階のテーブルで食事をとったそうです。またこの家で生活していた時期に、代表作「細雪」の中巻を執筆していたと言われています。
資料に大正11年の記録が残るこの家は、鰻の寝床と呼ばれる奥行が長い典型的な京町家とは異なり、間口が非常に広く、その歴史を感じる悠々とした姿が目を引きます。
ガラス戸を引いて中に足を踏み入れると、土間に沓脱石が置かれた静謐の玄関が迎えてくれます。その先にある長い縁側の向こうには、谷崎が暮らした当時から変わらぬ姿を残す坪庭をのぞみます。
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