東山・岡崎の複合施設 Com-ion

平安神宮の南、白川が流れる閑静な地。
昨年秋、明治45年に建てられた京町家・旧青山邸が全面リノベーションにより、レストランや清水焼のショップを有する複合施設”Com-ion”(コミオン)として生まれ変わりました。

広大な敷地に立つ母屋・離れ・倉庫の3棟を全面的に改修するとのことで、弊社所属団体の京町家情報センターでも度々話題に上がったこの施設。
先日、こちらをおとずれました。

京都の平安神宮近くの町家を改装したレストランHiTOHi

平安神宮や岡崎公園の南、町家が立ち並ぶ趣ある通りに立つ町家。明治~昭和期に活躍した日本を代表する七宝家・並河靖之の記念館のほど近くに位置しています。

Com-ionの広大な敷地は白川に面していて、母屋・倉庫・離れの3棟の建物が立っています。この辺りを通りがかるとかならず目にとまる、印象的な町家です。

写真に写るのは手前がレストラン、奥が清水焼のショップ。間口が広く、貫禄のある佇まいです。レストランの前には、調理に使われる薪が大量に並んでいます。その印象的な姿に、通りがかる人たちが興味深そうに店内をのぞいていました。

 

京都の平安神宮近くの町家を改装したレストランHiTOHi

3棟の建物は、建築時の構造を生かしながら丁寧に改修されています。レストラン、清水焼のスタジオ、カフェ&ショップ、コワーキングスペースと、幅広い用途で利用されているそうです。

建物と建物の間には砂利や飛び石が敷かれ、憩えるスペースがつくられています。京都市内中心部で、広大な敷地と複数の町家が開かれた施設としてプロデュースされたということで、注目を集めています。

表の通りから奥へ進むと白川が見え、風が通りぬける、とても気持ちいい空間です。

 

京都の平安神宮近くの町家を改装したレストランHiTOHi

写真は、オールデイダイニング・HiTOHi。モーニング・ランチ・ディナーと、一日を通して食事を提供されるレストランです。
お店の中ほどの調理スペースには窯があり、ゆらめく炎を見ながら食事を楽しむことができます。

建物は開放的な空間でありながら、鉄骨を使用せず、元の構造を大切にしながら改修されています。店内には既存の床の間がそのまま残されていたり、自然に剥落した土壁をあえて修復せずに竹小舞を表したりと、この町家が刻んできた長い時間や風情を感じられるコンセプトになっています。

また、改修の際に出た良質な古材をおしぼりプレートとして加工する等して再利用されていて、この町家を生かす・残すということを大切にされている様子が伝わってきます。
お店の方と少しお話させていただいたなかで、「”古いもの”は作ることができないから」という言葉が印象的でした。

 

京都の平安神宮近くの町家を改装したレストランHiTOHi

東山・岡崎エリアに誕生したCom-ion。
Com-ionとは、共に(com)+動詞/~をすること(ion)を組み合わせた言葉だそうです。
人が集い、食べる、話す、買う、休む、働く、等々。人々の動詞によって、この空間が自由に豊かに意味付けられる。そんな思いが込められています。

京都の新たな注目のスポット。ぜひ訪れてみてください。