先日の京町家の京唐紙に続き、弊社のリノベーション町家に使用している京唐紙についてのお話しです。
下の写真は弊社リノベーション物件「北山、土間の家」の床の間にしつらえた京唐紙。こちらも「京からかみ 丸二」さんの唐紙です。
京都三大祭の一つ、平安時代に始まった「葵祭」が行われる上賀茂神社近くの物件であることから、上賀茂神社の神紋にちなみ、「二葉葵」の文様の京唐紙を選びました。
摺り色に、雲母(きら)と呼ばれる花崗岩を原料とした輝きのある塗料を使用しています。
唐紙の表情が最も美しいのは、室内の照明を消し、坪庭や天窓からの自然光のみを光源とした雲母の輝きを見る時かもしれません。
常に同じ明るさを造りだす現代の照明器具とは異なり、自然光は時間帯や天候によって刻々と表情を変えます。
普段はひっそりと町家に溶け込む唐紙も、見る角度や光の入り方により、上の写真のようにはっとした輝きを見せます。
現代のような電気照明設備が無かった時代、室内を照らすのは、坪庭や天窓からの光と蝋燭の灯でした。
限られた光源に照らされた雲母の輝きは、ほの暗い町家の中で光を感じるための大切なしつらえだったのでしょう。
時折家の中の照明を消して、唐紙の控えめな輝きを静かに楽しむひとときは、
町家暮らしの楽しみのひとつです。