蘆山寺(ろざんじ)通の角町家  初のオープンハウス開催

新規物件 全面リノベーション済京町家「蘆山寺(ろざんじ)通の角町家」
初のオープンハウスを開催致します。

日時:平成29年9月9日(土)・10日(日) 13時から16時まで

蘆山寺通の京町家 詳細はこちら

上京区の改装済京町家上京区を東西にはしる蘆山寺(ろざんじ)通に面した角地の京町家。
蘆山寺通が広いため、京町家に多いせせこましさを感じさせない佇まいです。隣には町家が2軒ならび、また周囲にも町家が点在しているため、広い通りに面しながらも落ち着いた京都の風情が残る場所です。
物件の所在地は「上京区戌亥(いぬい)町」という町ですが、戌亥とは北西をあらわす方位です。一説によると、京都市内中心部から見た時にこの場所が北西方向に位置するため、戌亥町という町名が付けられたと言われており、この町が古い歴史を持つことが伺えます。

 

上京区の改装前の京町家
この物件は以前店舗として使われており、写真の様にファサードがモダンに改装されていましたが、今回のリノベーションで京町家らしい外観に再生しました。正面の外壁は隣2軒の町家に馴染むよう黄味がかった色で塗装。格子窓は南からの採光を十分に得るためやや大きめにしていますが、隣2軒の町家と趣を合わせ木製ではなく鉄の格子をあしらっています。
年々町家が減少し町家が軒を連ねる家並みも珍しいものとなりつつありますが、リノベーションで外観に町家を取り戻すことで、かつての京都の町並みを再生しました。

 

町家の仁丹の看板

2階南西角には希少な仁丹の看板を設置しています。
京都市内中心部や伏見区でよく見かける仁丹の看板ですが、町家の消失と共に姿を消しつつあります。町家を改装し残すことで仁丹の看板も共に次の世代へと引き継げたらと思います。
看板の横、祇園界隈の簾も手掛けておられる「伊吹すだれ」さんの簾がかかる簾掛けは、現場の職人の方が作成したもの。「正面はこの家の顔になるし、見栄えようせなあかんな」と作っていただいた簾掛けは、透かし彫りの入ったデザイン性のあるものになっています。ぜひ現地でご覧いただければと思います。

 

町家の和室から坪庭を見て先ほどオープンハウス準備のため現地を訪れましたが、正面の格子窓と坪庭に面した奥の窓を開け放つと、心地良い風がすっと家の中を通り抜け、残暑厳しい季節とは思えないすがすがしさに驚きました。今まで色々な町家を訪れましたが、前の道が広く奥の坪庭が開けている町家は風の通りがよく涼しさを感じるように思います。
快晴のため室内は照明が不要なくらい明るく、一方で光の射す角度によってほのかに暗い場所も生まれ、すみずみまで落ち着ける空間でした。

初のオープンハウス、どうぞお気軽にお越しください。
お待ちしております。

 

京町家 リノベーション最終打合せ

改装も大詰めを迎えた京町家の最終打合せを行いました。

 

町家の木製ポスト職人の方に大まかなデザインと大きさを伝え、細かな部分はお任せしていた造作ポスト。確認のため現場に行くと、A4サイズの郵便物が入る立派なポストが出来上がっていました。〒マークの透かし彫りが入ったレトロなデザインの木製ポストです。
玄関扉前の目隠し格子に取り付けていきます。

 

町家の屋根を支える腕木

2階は現代の住環境を考慮し全室勾配天井とし、町家特有の天井高の低さを解消。
既存の天井板に隠れていた腕木(写真、屋根を支え骨組み)をあえて見せ、部屋のアクセントにしています。
天井には杉板を貼り木そのものの温もりが心地良い空間に。杉板は色を乗せず軽い仕上げにすることで勾配天井の開放感を損なわないようにしています。

 

京町家のすだれ

2階正面の窓には新たにすだれ掛けを取り付けました。
2階廊下の手すりと同じ彫りの意匠で仕上げ統一感を持たせています。
すだれは祇園・清水寺の近くにお店を構える「伊吹すだれ」さんに一枚一枚作製していただいた葦すだれです。祇園界隈のお茶屋さん等のすだれを数多く手掛けておられ、京の名工にも選ばれています。
通常よく使用する白っぽい葦の中に赤みの入った葦を混ぜ、京町家に合うすだれを作っていただきました。

京町家の改装打合せ

現在改装中の京町家の打合せを行いました。

正面が広い道路に面した角地に建つ京町家です。
建物自体は小ぶりですが、古建具や京唐紙、雪見障子と畳敷きの縁側越しにのぞむ坪庭、天井を横切るゴロンボなど、随所に京町家らしさを取り込れ、町家の情緒を大切にした家にしています。

 

町家の吹き抜け廊下

天井板を取り払い既存の梁や骨組みをあらわした2階の廊下。
小ぶりな建物は少しでも部屋を広く取ろうとするため
どうしても階段スペースが閉鎖的になりがちですが、
勾配天井にし天窓を設けることで閉塞感を無くしています。

壁面は聚楽壁の風合いを持つ落ち着いた質感と色味で仕上げ、
明るすぎない、町家らしい仄暗さを残した空間にしています。

 

京町家の階段手摺透かし彫りの美しい廊下の手摺。
計画当初はシンプルな横桟の手すりを設置する予定でしたが、
現地打合せの際に職人の方の提案により写真の様な透かし彫りを施したデザインに変更しました。
模様は町家によく見られるスタンダードなものを選び嫌味なく空間に馴染むようにしています。

写真はありませんが、建物正面の2階に取り付けたすだれ掛けも
意匠を合わせて廊下の手摺と同じ透かし彫りで仕上げています。
細部にひと手間をかけることで町家らしい風情がぐっと高まりました。

 

京町家の和室とアクセントクロス2階、廊下と同様に勾配天井で梁をあらわした和室。
素木の小さな床の間の背面を藍色で仕上げ、空間を引き締めるアクセントにしています。
写真には写っていませんが、廊下と和室を仕切る戸襖にはいつもお世話になっている京唐紙の老舗企業「京からかみ丸二」さんの襖紙を使用します。

テラスがリビングになる、公園前の家 ご来場ありがとうございました

 

昨日、リノベーション京町家「テラスがリビングになる、公園前の家」の初のオープンハウスを開催致しました。
たくさんの方々にご来場いただきました。ありがとうございます。

 

町家のオープンテラス

幸いにも当日は晴れ、南向きのオープンテラスとリビングにはたっぷりの陽と風が舞い込み、暖かく明るい空間となっていました。
家の正面に広がる公園と大きな空の眺望、吹き抜ける風がすがすがしく、一日中テラスでまどろんでいたくなる心地よさでした。

 

 

京都駅を模したウッドデッキ

町家のテラスとリビング

 

リビングからフラットにつながるオープンテラスは、階段状になり、自転車やバイクを停められる土間(庭)へと続いています。
階段寸法は、京都駅の大階段を参考にしています。設計士が実際に京都駅へ行き大階段を測量した寸法を元に、大人でもゆったりと腰かけられる階段にしています。

オープンテラスには容量のある外部収納スペースやガーデンパンを設置しているので、水洗いが必要な作業も気兼ねなく行えます。
テラスと庭は板塀で囲っているので、ペットも安心して駆け回れる空間です。

土間の東側には、通路に面した勝手口を設けているので、自転車やバイクの出し入れに便利です。

 

ながめが良く明るい家をお探しの方、ペットと一緒にのびのびと暮らせる物件をお探しの方、広いオープンテラスでゆったりと過ごしたい方におすすめの物件です。

ご興味がありましたらお気軽にお問合せください。

町家の日

弊社が所属しております京町家情報センターの発案で、
3月8日が「町家の日」に制定されました。

年々減少する京町家。
「町家の日」は、京町家に触れることで、町家の文化や魅力について
考えるための日になればと考えております。

本年度は、3月8日を中心とした3月4日(土)?3月12日(日)を「町家ウィーク」とし、京都市内の町家で様々なイベントを開催します。

http://www.miyako-es.jpmachiyanohi.jp

町家の日
イベントは、町家でコンサートやマルシェ、お茶会など様々。

ぜひお気軽にご来場ください。

外壁の漆喰塗装

先日、改装工事中の町家で、外壁の漆喰塗装が行われました。

 

左官職人の方による漆喰塗装

今回のリノベーションでは、長年京町家の改修をされている左官職人の方に塗装をお願いしました。

何度も何度も鏝(こて)を往復させ、少しずつ塗られていく漆喰。

「町家の外壁に真っ白の漆喰を使うと、格子や腰板の木部の古色とのコントラストが強く出すぎるから、うちではグレーがかった色の漆喰をよく使う」という左官職人の方の言葉の通り、淡くグレーがかった浅葱色(あさぎいろ)の漆喰が丁寧に塗り込められていきます。

落ち着いた色合いの漆喰が木部の古色と壁とのコントラストをやわらげていきます。

 

漆喰の下地

こちらの写真は漆喰を塗る前の外壁の下地の状態です。
まるで一枚の紙をぴんと張ったかように端正に塗りこめられた壁に、スサの温かみが町家らしい風情を添えています。
漆喰を重ねるのが惜しくなるほど美しい中塗り壁です。

町家や寺社仏閣の工事に携わってこられたベテランの大工の方からよく聞くのが、
「長年大工をやっていると大抵の工程は自分でできるようになるけど、
左官だけは別」という言葉。

熟練の左官職人の方により仕上げられたファサードの漆喰壁は、まさにこの町家の顔となる部分。その端正な表情が、周囲の町並みに溶け込む落ち着いた佇まいを演出します。

 

書斎

 

 

 

 

 

 

内部工事も終盤に差し掛かっています。
写真は無垢材の造作テーブルと本棚がある小さな書斎。
元々部屋の一角の収納として使われていたスペースを利用しています。

わずか2帖半ほどの小さなスペースですが、吹抜に面して開口を取ることで
心地良い通風と採光を確保しています。
吹抜を通じて階下の家族の気配を感じながら書き物やパソコン作業を行える
隠れ家のような空間です。

改修工事もいよいよ大詰めとなり、まもなく完成を迎えます。

町家の木部塗装

もうすぐ完成予定の改装町家の塗装打合せを行いました。

 

町家の塗装
町家の改装物件は新築物件とは異なり、
既存の柱や梁などの古色の木部と、
改装工事で新しく造り付けた柱や棚などの
素木の木部が同じ部屋に混在します。

部屋全体のバランスを見ながら、新設木部を
どのような色味でどこまで塗装すべきか、
塗装職人の方を交えて一か所一か所
相談しながら決めていきます。

 

この町家では、改装工事で新しく造り付けた建具枠や敷居等の新設木部を
既存木部に合わせて古色の塗装を施すことで、室内に統一感を出し、
落ち着いた雰囲気に仕上げることにしました。

 

 

町家のアクセントクロス

一方、新設の無垢材をあしらったLDKの天井は、
木そのものの美しさを生かすために透明な保護塗料のみを塗装。
透明な塗料が木に染み込むことで、木目が浮かび上がり自然な艶と表情が生まれます。

 

LDKの壁には藍色のアクセントクロスを使用。
和紙に似た柔らかい質感を持つ和紙クロスを使用しています。
日本の伝統色として古くから親しまれてきた藍色は既存木部にも新設木部にもよくなじみ、この町家を一層落ち着いた空間へと引き立てています。

「町家の日」の制定

この度、弊社所属団体「京町家情報センター」一般社団法人日本記念日協会にて、3月8日を「町家の日」に制定いたしました。

 

町家の日

 

京町家情報センターとは、京町家の流通・活性化を目的とした、京町家を扱う京都の不動産企業と京町家再生研究会から成る団体です。

ここ数年、町屋を改修した宿泊施設・セカンドハウス・投資用物件等、
町家ブームと言えるほどに町家物件の需要が高まっています。
国内の方だけでなく、海外の様々な国の方が町家を買い求めに来られることも増えました。

しかしながら現在でも、依然として町家の取り壊しは続いています。
町家所有者の高齢化や建物の老朽化による維持管理の難しさ、需要と供給のミスマッチ等、町家の流通の活性化には多くの課題があります。

京町家は長い歴史を通じて人々に受け継がれてきた大切な知恵や文化であり、また重要な観光資源です。

今後、「町家の日」が広く認識され、全国の町家の在り方について考えるきっかけになればと思っています。
京町家情報センターの方でも、町家に関するイベント等を開催していきたいと考えています。

京町家の京唐紙

先日の京町家の京唐紙に続き、弊社のリノベーション町家に使用している京唐紙についてのお話しです。

 

 

下の写真は弊社リノベーション物件「北山、土間の家」の床の間にしつらえた京唐紙。こちらも「京からかみ 丸二」さんの唐紙です。

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京都三大祭の一つ、平安時代に始まった「葵祭」が行われる上賀茂神社近くの物件であることから、上賀茂神社の神紋にちなみ、「二葉葵」の文様の京唐紙を選びました。

摺り色に、雲母(きら)と呼ばれる花崗岩を原料とした輝きのある塗料を使用しています。

唐紙の表情が最も美しいのは、室内の照明を消し、坪庭や天窓からの自然光のみを光源とした雲母の輝きを見る時かもしれません。

常に同じ明るさを造りだす現代の照明器具とは異なり、自然光は時間帯や天候によって刻々と表情を変えます。

普段はひっそりと町家に溶け込む唐紙も、見る角度や光の入り方により、上の写真のようにはっとした輝きを見せます。

 

 

 

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現代のような電気照明設備が無かった時代、室内を照らすのは、坪庭や天窓からの光と蝋燭の灯でした。
限られた光源に照らされた雲母の輝きは、ほの暗い町家の中で光を感じるための大切なしつらえだったのでしょう。

 

時折家の中の照明を消して、唐紙の控えめな輝きを静かに楽しむひとときは、
町家暮らしの楽しみのひとつです。

 

京町家の京唐紙

町家のリノベーションにおいて、襖紙は室内装飾の重要な要素となります。
弊社のリノベーション京町家では、襖紙に京唐紙をしつらえています。

唐紙とは、奈良時代に中国の唐から伝わった、美しい文様の装飾された紙のことです。
平安時代には当時の都であった京都で「京唐紙」として発展し、貴族や僧が文字を書くために使用していましたが、時代と共に襖や屏風等の室内装飾としても用いられるようになったとされています。

弊社がよく使わせていただくのは、京唐紙の老舗企業「京からかみ 丸二」さんの京唐紙。

京からかみ丸二さん ウェブサイト

絵具を塗った版木に紙を重ね手の平で紙を摺り文様を写しだす、伝統的な手刷りの技法で唐紙を作製されています。

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写真は弊社リノベーション物件「上京区の京町家」しつらえた、「光琳松」と呼ばれる文様の唐紙の襖。

松の木をデフォルメしたどこかユーモラスな光琳松の文様は、江戸時代を代表する絵師、尾形光琳らの絵柄をアレンジした「光琳文様」と呼ばれるものの一つ。
自然の草花や生物をモチーフにした慎ましやかな光琳文様は町家によく合うとされ、特に町民の間で好んで使用されてきました。

この唐紙を見た時、松の文様一つ一つの自然な濃淡と控えめな立体感の美しさに驚きました。
よく見るとどの松もそれぞれ表情が異なり、ユーモラスな姿も相まって、まるで生物のようです。全体を眺めるだけでなく、文様一つ一つにじっくり見入ってしまいました。

人が手の平で紙を刷る手刷りの技法にしか生み出せない、温かみのある美しい唐紙です。