中古住宅「中庭のある家」リノベーションの様子

改装が終盤に差し掛かった中古住宅の現場確認を行いました。

大通りのほど近くに建つ中古一戸建です。
周囲には閑静な住宅街が続き、前面道路が広いため、落ち着きと開放感を兼ね備えた立地です。

 

 

元々こだわりを持って造られた建物のため、そのデザイン性の高さをそのまま残し、水回り設備・クロス・フローリング等を新しく入れ替えています。
間取りは3LDKのため、ご家族でもお住まいいただけます。

 

写真は中庭のあるLDK。庭に面したL字の開口部が空間に開放感を与えています。
腰高の造作収納棚を挟んでリビング・ダイニングと隣接するキッチンは間口の広さが特徴。キッチンカウンター横にはゴミ箱や収納ボックスを置ける空スペースも備えたゆとりある空間です。

 

 

新しく入れ替えた洗面化粧台は広いカウンターに三面鏡を備えているため使い勝手が良く、また写真には写っていませんが、手前には背の高い収納も設置しています。
トイレは洗面化粧台横の他に、個室でもう1か所備えています。

その他室内は白でまとめた壁・天井に深緑の造作建具をアクセントとし、モダンなテイストに仕上げています。

ウェブサイト掲載まで今しばらくお待ちください。

「丸窓の京町家」リノベーションの様子

先日ブログにてご紹介した明治築の京町家に続き、「丸窓のある京町家」の改装が終盤に差し掛かりました。

既存の丸窓をそのまま残し、隣り合う寝室(和室)と書斎(洋室)へと改装しています。
前道の幅員が広いため、丸窓には透明ガラスをはめ込み豊かな採光と眺望を確保しています。丸窓の内側には引分けの障子を設置していますが、障子を閉めても丸窓のシルエットが美しく浮かび上がり、その風情を楽しむことができます。

丸窓の横、書斎側には大きなコーナー窓があり、広い前道へと視線が抜けるすがすがしい空間です。収納横の壁面には書斎として使えるよう小さなカウンターテーブルと棚を設けていますが、窓前に愛用の書斎机と椅子を置いて、窓の外に広がる開放感を楽しみながら作業をするのも良いかもしれません。

 

こちらは玄関間の様子。表の通りに面した窓から格子越しに柔らかい光が射し込みます。

地袋には、いつもお世話になっている「京からかみ 丸二」さんの唐紙をあしらっています。
唐紙は原紙・摺り色・紋様の組み合わせ方が無数にあり、どういった組み合わせを選ぶべきかいつも頭を悩ませるのですが、楽しい作業でもあります。毎回、建物や所在地の歴史、部屋の使用用途、建物全体の雰囲気など様々な要素を考慮して選定しています。
この町家では、周囲の壁と馴染む唐氏色の原紙に、格式高い利休大桐の紋様をあしらいました。摺り色はキラとし、紋様の印象の強さを残しつつ上品に仕上げています。

 

玄関間にしつらえた古建具。この町家は既存の古建具がほとんど残されていなかったため、古建具店で新たに選定したものも併せて設置しています。柱と梁で構成される京町家は建具が部屋の印象を大きく左右するため、デザイン性に富み、かつ建物の風情を損なわないような上品な建具を選ぶようにしています。特に、写真の様に細かな桟があしらわれた建具は、桟の隙間から隣接する空間が僅かに覗くことで、空間に奥行と立体感が生まれます。

 

間もなく完成となります。販売開始まで今しばらくお待ち下さい。

※誠に恐れいりますが販売前の物件詳細についてのお問い合わせにはお答えしておりません。何卒ご了承下さいますようお願い申し上げます。

「明治時代の京町家」リノベーションの様子

 

昨年から改装を行っていた京町家がようやく工事完了を迎えます。

正確な築年数は不明ですが、明治時代に建てられたと思われる2階建の京町家です。落ち着いた通りに面しており、室内は十分な広さがあります。縦にミセノマ・中の間・ダイドコ・座敷の4室が並び、その奥に坪庭を構える典型的な京町家の間取りを有していました。

この町家の持つ趣を生かすため、縦に居室が並ぶ間取りをそのまま残して改装しています。天井は既存の大和天井・竿縁天井ともに比較的状態が良く、幅広で質の良い天井板が使われていたため、最低限の修復のみ行い、年数を経た材にしか出せない艶や質感を生かしています。

座敷の既存の床柱は、現代では希少な赤松をそのまま利用。元は床柱に食い込むように造作棚が設置されていましたが、造作棚を撤去し、古材と竹を使ったシンプルな吊り棚をつくりました。

ダイドコには元々この場所に残されていた小さな箱階段を設えています。箱階段も建物と同じく明治のものと思われるため、経年変化による劣化がありましたが、丁寧に解体・修復して再生しました。一応箱階段から2階へ上がることも可能ですが、勾配が非常に急で踏面も狭いため、この家の歴史を感じられるインテリア的な要素としてディスプレイしています。垂れ壁の後ろにスポットライトを仕込み、箱階段を印象的に照らすよう工夫しています。

 

2階の居室から階段を見下ろしたところ。
階段部分は京町家の火袋を模した吹き抜けの空間にしています。天窓を設け、暗くなりがちな町家の中央部分に光を落としています。階段横の壁は既存の柱をあらわし、既存の壁の凹凸をそのまま残した上で修復しています。天窓からの柔らかい光が凹凸に描く陰影は、時間や陽の入り方によって刻々と変化し、一日中眺めていても飽きることがありません。

 

2階の階段奥には小さなテラスのような余剰空間を設けています。
当初は居室にする予定でしたが、火袋(吹き抜け)の趣を残すために壁を造らず、手摺越しに階下を見下ろす遊び心のあるスペースにしています。背面には既存窓をそのまま残しているため、光が射し込む明るい空間です。

これから畳や古建具、唐紙襖が入り、改装完了となります。
完成まで今しばらくお待ちください。

※誠に恐れ入りますが、販売前の物件詳細等についてのお問い合わせにはお答えしておりません。何卒ご了承下さいますようお願い申し上げます。

新規リノベーション物件が完成しました

新規リノベーション物件「御前四条上るの家」を新規掲載しました。

詳細はこちらをご覧ください

 

阪急・京福「西院」駅から徒歩4分。駅の建て替えや新駅の整備でにぎわいを増す西院駅にほど近く、近隣には大型スーパー「オアシス」があり、バス停にもほど近い便利な場所に建っています。

物件は閑静な住宅街の静かな道に面していて、駅の近くでありながら駅周辺の喧騒を感じさせない落ち着いた雰囲気が広がっています。

 

この家のメインは造り付けたキッチンとダイニングテーブル。
間口の広さを生かしてキッチンと木のテーブルをフラットに横並びにつなぎました。ステンレスと木という異なった材の調和が、インテリアとしても優れ、空間を印象づけています。時間のない時にも食事をさっと作ってテーブルに出せる、という効率性も重視。お忙しい共働きのご夫婦にもおすすめです。

リビングの上には高さ約180cmのハイサイドライトと天窓を設置。

設計士の先生がもっともこだわりを持って設計されたハイサイドライト。建物の庭が北向きで狭いため、1階に光が入らず薄暗い状態でしたが、一日中柔らかな光が零れ落ちる家に生まれ変わりました。背の高いハイサイドライトは採光だけでなく意匠としても機能し、大胆なデザインを壁に描いています。
吹抜けの新設により床面積は多少減少しますが、薄暗い空間のまま床面積を確保するより、何気ない日常を過ごす中でふと光を感じられる空間にしたいという考えのもと、建物に光を取り戻しました。

 

2階の寝室。小ぶりな建物では部屋数を確保するために空間を細切れにし、狭い部屋をたくさん造ることが多いのですが、この家ではあえて11帖の広い寝室を造りました。
ベッド2台にデスクを置いても余裕のある広い空間になっています。
クローゼット(写真手前)の扉はナラ材を使用。木目が目立たずすっきりとした印象で、壁の一部のように空間に溶け込んでいます。クローゼット内部の中央に仕切りを入れて2人でも使いやすいよう配慮しています。
入口は舞良戸に似せた古建具風の扉を新設。ユニークなデザインの黒い艶消しのレバーハンドルもインテリアのアクセントに。

建物は小ぶりですが、2~3人のご家族や、もちろんお1人にもちょうど良い空間になっています。
お気軽にお問合せ下さい。

リノベーション物件 大きなカウンターテーブルのある家

新しいリノベーション物件の工事も順調に進んでいます。
駅にほど近く生活利便の良い場所に建つ家をリノベーション中です。

間口の広さを生かし、対面キッチンとダイニングテーブルを横並びに造りつけた特徴ある物件です。
キッチン天板はステンレス製、テーブルは木製のため、異なる材の収め方や見せ方について現場で何度も打合せを重ねています。

 

吹抜けの天窓

住宅密集地のため、リビングには大きな吹き抜けを設け、 ハイサイドライトと天窓で階下に光を落とすことで明るさを確保しています。
小ぶりな物件ですが吹抜けを設けることで閉塞感がやわらぎ、開放感が生まれています。

販売開始まで今しばらくお待ちください。

※恐れいりますが販売開始前の物件に関するご質問にはお答えできません。
何卒ご了承下さいませ。

光悦桐の京からかみ

販売中の全面リノベーション済京町家「蘆山寺(ろざんじ)通の角町家」の
地袋に京からかみをしつらえました。

蘆山寺(ろざんじ)通の角町家 詳細はこちら

 

京町家の地袋と唐紙小さな和室に造り付けた地袋。
赤味の強いケヤキの地袋と調和するよう、畳や塗壁に似た淡い黄緑がかった色を選んでいます。
京唐紙は弊社の他のリノベーション京町家でも何度か使わせていただいている老舗唐紙企業「京からかみ 丸二」さんのものです。
一枚一枚、熟練の技により手摺りで作られた唐紙です。

天井に仕込んだスポットライトが地袋と唐紙をぼんやりと浮かび上がらせています。

 

京都の京唐紙唐紙の文様は「光悦桐」。

桐は昔から格式高い文様として公家や茶人に好まれ使われてきましたが、
この光悦桐は装飾性が高くユーモラスにデフォルメされており、町人の間で広く愛されてきました。上品な中にどこかかわいらしさを感じるデザインです。

光悦桐は江戸時代に作られたと言われる文様ですが、現代でも全く古さを感じさせないのが、京からかみの不思議な魅力です。

蘆山寺(ろざんじ)通の角町家  初のオープンハウス開催

新規物件 全面リノベーション済京町家「蘆山寺(ろざんじ)通の角町家」
初のオープンハウスを開催致します。

日時:平成29年9月9日(土)・10日(日) 13時から16時まで

蘆山寺通の京町家 詳細はこちら

上京区の改装済京町家上京区を東西にはしる蘆山寺(ろざんじ)通に面した角地の京町家。
蘆山寺通が広いため、京町家に多いせせこましさを感じさせない佇まいです。隣には町家が2軒ならび、また周囲にも町家が点在しているため、広い通りに面しながらも落ち着いた京都の風情が残る場所です。
物件の所在地は「上京区戌亥(いぬい)町」という町ですが、戌亥とは北西をあらわす方位です。一説によると、京都市内中心部から見た時にこの場所が北西方向に位置するため、戌亥町という町名が付けられたと言われており、この町が古い歴史を持つことが伺えます。

 

上京区の改装前の京町家
この物件は以前店舗として使われており、写真の様にファサードがモダンに改装されていましたが、今回のリノベーションで京町家らしい外観に再生しました。正面の外壁は隣2軒の町家に馴染むよう黄味がかった色で塗装。格子窓は南からの採光を十分に得るためやや大きめにしていますが、隣2軒の町家と趣を合わせ木製ではなく鉄の格子をあしらっています。
年々町家が減少し町家が軒を連ねる家並みも珍しいものとなりつつありますが、リノベーションで外観に町家を取り戻すことで、かつての京都の町並みを再生しました。

 

町家の仁丹の看板

2階南西角には希少な仁丹の看板を設置しています。
京都市内中心部や伏見区でよく見かける仁丹の看板ですが、町家の消失と共に姿を消しつつあります。町家を改装し残すことで仁丹の看板も共に次の世代へと引き継げたらと思います。
看板の横、祇園界隈の簾も手掛けておられる「伊吹すだれ」さんの簾がかかる簾掛けは、現場の職人の方が作成したもの。「正面はこの家の顔になるし、見栄えようせなあかんな」と作っていただいた簾掛けは、透かし彫りの入ったデザイン性のあるものになっています。ぜひ現地でご覧いただければと思います。

 

町家の和室から坪庭を見て先ほどオープンハウス準備のため現地を訪れましたが、正面の格子窓と坪庭に面した奥の窓を開け放つと、心地良い風がすっと家の中を通り抜け、残暑厳しい季節とは思えないすがすがしさに驚きました。今まで色々な町家を訪れましたが、前の道が広く奥の坪庭が開けている町家は風の通りがよく涼しさを感じるように思います。
快晴のため室内は照明が不要なくらい明るく、一方で光の射す角度によってほのかに暗い場所も生まれ、すみずみまで落ち着ける空間でした。

初のオープンハウス、どうぞお気軽にお越しください。
お待ちしております。

 

京町家 リノベーション最終打合せ

改装も大詰めを迎えた京町家の最終打合せを行いました。

 

町家の木製ポスト職人の方に大まかなデザインと大きさを伝え、細かな部分はお任せしていた造作ポスト。確認のため現場に行くと、A4サイズの郵便物が入る立派なポストが出来上がっていました。〒マークの透かし彫りが入ったレトロなデザインの木製ポストです。
玄関扉前の目隠し格子に取り付けていきます。

 

町家の屋根を支える腕木

2階は現代の住環境を考慮し全室勾配天井とし、町家特有の天井高の低さを解消。
既存の天井板に隠れていた腕木(写真、屋根を支え骨組み)をあえて見せ、部屋のアクセントにしています。
天井には杉板を貼り木そのものの温もりが心地良い空間に。杉板は色を乗せず軽い仕上げにすることで勾配天井の開放感を損なわないようにしています。

 

京町家のすだれ

2階正面の窓には新たにすだれ掛けを取り付けました。
2階廊下の手すりと同じ彫りの意匠で仕上げ統一感を持たせています。
すだれは祇園・清水寺の近くにお店を構える「伊吹すだれ」さんに一枚一枚作製していただいた葦すだれです。祇園界隈のお茶屋さん等のすだれを数多く手掛けておられ、京の名工にも選ばれています。
通常よく使用する白っぽい葦の中に赤みの入った葦を混ぜ、京町家に合うすだれを作っていただきました。

京町家の改装打合せ

現在改装中の京町家の打合せを行いました。

正面が広い道路に面した角地に建つ京町家です。
建物自体は小ぶりですが、古建具や京唐紙、雪見障子と畳敷きの縁側越しにのぞむ坪庭、天井を横切るゴロンボなど、随所に京町家らしさを取り込れ、町家の情緒を大切にした家にしています。

 

町家の吹き抜け廊下

天井板を取り払い既存の梁や骨組みをあらわした2階の廊下。
小ぶりな建物は少しでも部屋を広く取ろうとするため
どうしても階段スペースが閉鎖的になりがちですが、
勾配天井にし天窓を設けることで閉塞感を無くしています。

壁面は聚楽壁の風合いを持つ落ち着いた質感と色味で仕上げ、
明るすぎない、町家らしい仄暗さを残した空間にしています。

 

京町家の階段手摺透かし彫りの美しい廊下の手摺。
計画当初はシンプルな横桟の手すりを設置する予定でしたが、
現地打合せの際に職人の方の提案により写真の様な透かし彫りを施したデザインに変更しました。
模様は町家によく見られるスタンダードなものを選び嫌味なく空間に馴染むようにしています。

写真はありませんが、建物正面の2階に取り付けたすだれ掛けも
意匠を合わせて廊下の手摺と同じ透かし彫りで仕上げています。
細部にひと手間をかけることで町家らしい風情がぐっと高まりました。

 

京町家の和室とアクセントクロス2階、廊下と同様に勾配天井で梁をあらわした和室。
素木の小さな床の間の背面を藍色で仕上げ、空間を引き締めるアクセントにしています。
写真には写っていませんが、廊下と和室を仕切る戸襖にはいつもお世話になっている京唐紙の老舗企業「京からかみ丸二」さんの襖紙を使用します。

金木犀とベンチの家 打合せの様子

 

町家の塗装打合せ

先日、プロジェクト「金木犀とベンチの家」の内装打合せを行いました。
プロジェクトページはこちら

写真は造り付けのベンチと対面キッチンがあるLDKの天井塗装色の打合せの様子。
塗装は塗装面の材により、同じ色味を塗装しても仕上がりが異なってきます。
そこで写真の様に、天井材と同じ材にいくつかの色味を塗装した見本を用意し、壁や柱の色味、光の入り方など、空間全体のバランスを見ながら塗装色を決めていきます。

 

京町家の市松貼り天井こちらが塗装前のLDKの天井です。
板と板の間を少し隙間を空けて施工する「目透かし張り」という手法で仕上げています。

通常、目透かし張りに意匠性を持たせる場合、木目を互い違いに施工して市松模様に仕上げます。
この物件では、さらに現場の職人の方の提案により、同じ板材の中から明るめの色目と暗めの色目の板を選び出し、木目に加えて色目も互い違いに施工することで、写真の様なより美しい市松模様に仕上げています。

LDKが広く天井の面積が大きいため、通常の目透かし天井ではのっぺりとした印象になりそうなところをよりはっきりとした市松模様に仕上げることで、空間が平坦にならずリズムが生まれます。
このままでも十分に美しい天井ですが、空間全体に統一感を出すため、市松模様の風情を残しながら塗装をしていきます。

 

町家 窓の桟

小さな坪庭に面した窓にも一工夫。
写真の様に、2枚引違い窓の中心の窓枠前に細い柱を打つことで、室内から庭を見た時に、アルミの窓枠を柱で覆い、一枚の大きな画の様に見えるよう配慮しています。
より庭を美しく見せ、より空間を広く感じられるよう配慮した、設計士の先生の提案です。