京町家の古建具

京町家の風情を演出する大切な要素のひとつ、古建具のお話しです。

柱と梁の構造で造られる町家(日本家屋)は開口部の面積が大きく、その大きな開口部を壁ではなく建具で仕切るという文化を持ちます。
そのため、どのような古建具を使用するかが家の雰囲気を大きく左右します。

町家をリノベーションするにあたり、元々町家に良い古建具が残されている場合は既存古建具を適宜補修して使用しますが、古建具が残されていない場合や新建材の建具に取り換えられている場合、古建具を扱うお店で新たに古建具を選びます。

 

今回は、現在掲載中のリノベーション済京町家物件「哲学の道の隠れ家」で新たに選定した古建具をご紹介します。

 

 

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こちらは玄関間とDKを仕切る古建具。上部に木製の細工、中央部は型ガラスと透明ガラスがあしらわれています。京町家でよく見られる古建具です。
古建具店のご主人によると、京都の古建具は写真のようにシンプルな意匠のものが多く、デザインの種類もある程度限定されているとのこと。

この部屋は、ご近所の方や急な来客に対する簡易な接客の場や、荷物の受け取り場所として使うことを想定しています。そのため、家の奥にあまり目線が入らないよう、型ガラス(不透明なガラス)が多く使われた古建具を選定しました。
一方で、北向きの部屋の為、採光に配慮し、型ガラスに挟まれる形で細い透明ガラスをあしらった建具を選んでいます。
透明ガラスからDKや座敷の様子がちらちらと伺えるため、仕切られた空間でありながら隣の部屋とのつながりや坪庭からの光を感じられる心地良い空間になっています。

 

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こちらはDKと座敷を仕切る古建具。
先程の古建具とは異なり、かなり細かな細工の建具になります。
上部には凝った意匠が施され、中央部には狭い間隔で桟があしらわれています。
このように細かな意匠や桟の間隔が狭いものは、北陸地方でよく見られる古建具です。シンプルなDKのアクセントとなるよう、北陸地方の細かな細工が施された古建具を選定しています。