文豪が暮らした家②

文豪、谷崎潤一郎が暮らした京町家の詳細について。

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谷崎潤一郎が暮らした京町家

この家を訪れると、まずその悠々とした姿が目を引きます。

京町家と言うと、間口が狭く奥行きが長い、いわゆるウナギの寝床が多いですが、この家は京町家にはめずらしく、間口がとても広いのが特徴。
間口(正面)が約16m、奥行が約9mと、非常にゆとりがあります。

建物は築不詳ですが、資料に大正11年8月の記録が残されています。
刻んできた歴史を感じさせる、ゆったりとした佇まいです。

 

谷崎潤一郎が暮らした京町家の玄関

玄関は趣のある銅板葺きの庇と、木製のガラス戸が印象的です。
こちらは来客を迎える入口、勝手口は家族用の入口と、使い分けても良いかもしれません。

 

谷崎潤一郎が暮らした京都の町家の玄関

谷崎潤一郎が暮らした京都の町家の玄関

ガラス戸を引いて家の中に足を踏み入れると、静けさに満ちた玄関がむかえてくれます。現代の住宅では少なくなった、土間に沓脱石が置かれた風情ある空間です。
玄関のガラス戸が光を透過し、土間にほのかな明かりを落とします。

玄関の正面には階段のある和室があり、その右手に座敷、左手に和室+板間が配されています。

 

谷崎潤一郎が暮らした上京区の京町家の和室と板間
1階の和室3畳+板間。中央の2枚にのみ透明ガラスが入った障子が印象的な部屋です。障子のむこうには縁側、その奥に坪庭があります。
坪庭からの光が障子をぼんやりと浮かび上がらせ、絵画のような雰囲気を醸しています。

左手は、キッチンと隣接する洋室。建具を取り払い、この部屋と洋室を合わせて、広々としたダイニングとしてもお使いいただけます。

 

谷崎潤一郎が暮らした京都の町家の座敷

谷崎潤一郎が暮らした京都の町家の座敷1階の奥の座敷8畳を見て。4枚の雪見障子から、縁側越しに坪庭をのぞみます。
障子の上げ下げや開閉によって、坪庭の見え方や光の入り方が変わります。

障子を開ければ、太陽の明るい光が差し込み、坪庭がよく見え、雪見障子を上げると、光はやわらかくなり、ガラス越しに緑や灯篭が垣間見ます。
落ち着いた空間なので、居間、あるいは客間に。

 

谷崎潤一郎が暮らした京都の町家の手水鉢

大きな手水鉢、飛び石の先にたたずむ灯篭、みずみずしい苔が美しい坪庭。
所有者様のお話によると、坪庭は谷崎が暮らした当時からほぼ変わらぬ姿を維持しているとのこと。

谷崎は2階を間借りしていましたが、食事は1階の大家さんのテーブルでとっていました。大家さんはとても良い方で、「2階だけでなく、食事の時は1階の台所も座敷もどうぞお使いください」と谷崎に話されたそうです。

谷崎も、食事をしながら、あるいはくつろぎながら、この坪庭をながめたのかもしれません。

 

 

文豪が暮らした家①

新規物件「文豪が暮らした家」を掲載いたしました。
明治末期~昭和中期に執筆を続けた文豪、谷崎潤一郎が暮らした京町家です。

文豪が暮らした家

谷崎潤一郎が暮らした京都の町家場所は、京都御所の北、相国寺の東、賀茂川の西と、名所に囲まれた上京区の市街地。
寺町通に面した角地にたつ京町家です。

生涯で40回以上も転居を繰り返した谷崎。
そのうち、昭和21年の5月から11月までの約半年間は、この鶴山町の町家の2階を間借りして暮らしていました。

 

谷崎潤一郎が暮らした京都の町家の和室
2階の和室10畳を見て。

谷崎は2階を間借りして、松子夫人ら家族とともに暮らしていたと言われています。
当時の大家さんの娘様が、大家さんからお聞きになったお話によると、谷崎は2階の小さな机で執筆し、1階の大家さんのテーブルで食事をとったとのこと。

谷崎らが転居した後は、松子夫人の妹である重子とその夫がこの家で暮らしました。
松子夫人、重子はともに、谷崎の代表作「細雪」に登場する四姉妹のモデルとなった人物です。

鶴山町から転居した翌年の昭和22年の夏に、谷崎がこの家に遊びにきたそうです。

 

谷崎潤一郎が暮らした京町家の和室

現代の住宅では見かけることが少なくなった、広い和室。
北側に大きく開けた窓から、自然光がさんさんと射し込んでいます。広い道に面した角地ならではの明るさです。

ガラス戸の向こうは縁側です。南側が隣地の駐車スペースのため、建物が近接しておらず、南からの光が室内にとどきます。

撮影日は晴天だったため、十分な自然光が舞い込み、照明をつけなくても明るさに満ちていました。

 

 

賃貸物件のリノベーション④

鴨川沿いの緑をのぞむ賃貸物件のリノベーションの様子です。

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京都の鴨川をのぞむリノベーション物件のブラケット照明

リビングの壁の一部に木の板を貼っています。壁には黒のブラケット照明を設置。インテリアのように空間のアクセントになっています。
白を基調としたシンプルなリビングに木を使うことで、落ち着きとぬくもりが加わり、よりリラックスして過ごせる空間になりました。

 

京都の鴨川をのぞむリノベーション物件のキッチンキッチンを見て。1人~2人暮らしに適した家なので、コンパクトなキッチンです。キッチン・吊り戸・タイルは全て白で統一し、すっきりとまとめています。背面には造作収納棚を設置しているので、家電や食器を十分に収納することができます。

リノベーションの完了まで今しばらくお待ちください。

賃貸物件のリノベーション③

鴨川沿いの緑をのぞむ賃貸物件のリノベーションの様子です。

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京都の鴨川の緑をのぞむリノベーション物件
リノベーションが進み、少しずつかたちが見えてきた賃貸物件。
打合せのために現場を訪れましたが、この日はよく晴れていて、両面の窓から光がさし、照明を付けずとも明るさに満ちていました。

写真は主寝室のオープンクローゼットとカウンターデスクです。
リノベーションにあたり、カウンターの設置場所をさまざまに検討しましたが、PCなどでの作業中、ふと窓の外を見たときに鴨川の緑が見えるようにしたいと思い、窓のそばに設置しています。

カウンターの支えはデスクトップPCを置くことを想定して、ある程度の耐荷重性があり、かつ見た目がすっきりしたものが良く、板材を選びました。支えは椅子に座った時に邪魔にならないよう、少し壁側に寄せて設置しています。
壁側のカウンター下の空きスペースにはボックスなどを置き、カウンター周りの収納空間として使っていただければと思います。

オープンクローゼットにはこれからハンガーパイプを設置していきます。

 

京都の鴨川の緑をのぞむリノベーション物件のLDKリビングを見て。
掃き出し窓の外には坪庭があり、家の中にいながら緑を感じられます。

小さな家なので壁や天井は基本的に白でまとめていますが、空間が単調にならないよう、リビングの壁の一部に木材を貼る予定です。
木材は着色せず、手垢止めのみを塗装して、木の自然な風合いを生かします。手垢止めは透明の塗料ですが、塗装すると木材に染み込み、しっとりとした質感が出て落ち着いた雰囲気になります。

 

京都の鴨川の緑をのぞむリノベーション物件の塗装見本その他、木部の塗装色を色見本を見ながら検討しました。
塗装色を決めるときは、塗装部と同じ材に塗料を塗った色見本を作成し、現地で光の入り方などを確認しながら選定しています。

この日は色見本を見ながら、外部と内部の木部の塗装色を決定しました。
内部の木部は、明るさを重視し、また木材本来の質感を生かすため、手垢止めで統一。外部の木部は、外壁とのバランスを考慮した色で塗装します。

 

賃貸物件のリノベーション②

鴨川の緑をのぞむ小さな賃貸物件のリノベーションの様子です。

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京都の鴨川をのぞむリノベーション賃貸物件の洋室寝室を見て。元は続き間でしたが、リノベーションにより、広々としたワンルームの寝室に変更しました。窓が3カ所あるので、日中は明るい陽が射し、窓を開ければ気持ち良い風がとおりぬけます。
収納はオープンクローゼットと押入、さらに階段にも物入を設けているので、1~2人分の洋服や荷物、季節の家電などを十分しまうことができます。

 

京都の鴨川をのぞむリノベーション賃貸戸建物件の窓こちらは通りに面した大きな窓。
元々は掃き出し窓でしたが、プライバシーを考慮し、腰高の窓に変えています。
透明ガラスではなく型板ガラスを使うことで、室内に光を届けながら、行き交う人の視線をさえぎるようにしました。

 

 

プロジェクト「哲学の道に面する京町家」②

哲学の道を目の前にのぞむ京町家のリノベーションプロジェクト「哲学の道に面する京町家」。設計士や工務店と現場打合せを行いました。

哲学の道に面する京町家/project

 

京都の哲学の道の京町家の窓哲学の道に面した大きな窓について、室内からの眺望、視線の抜け方、収まり、通風、開閉形態など、現場を訪れて再度確認しました。

眺望を優先するとFIX窓が最適ですが、開閉できないため閉塞感があります。一方、通常の引き違い窓は風通しの面では良いのですが、サッシにより視界が中央で分断される、窓が大きいため重量があり開閉しにくいのが難点です。
そのため、大きなFIX窓+片引き窓を設置することにしました。FIX窓で哲学の道の眺望を絵画のように切り取りながら、片引き窓で通気性も確保します。さらに、対面に引き違い窓を2枚設けて、風の通り道をつくります。

窓ガラスはプライバシーに配慮し、外から室内が見えにくいものを使用する予定です。

 

哲学の道に面する京町家こちらは、大きな窓がある部屋とは別の、哲学の道をのぞむ小さな洋室。
この部屋は眺望を生かして、もてなしの空間へとリノベーションします。

哲学の道の桜や紅葉をながめながら、友人をまねいてお茶を飲んだり、ご近所のかたと話をする、ここちよい時間を過ごせる空間をつくります。また、来客用の寝室として使うことも想定して、収納を設けるなど、機能性も考慮しています。

内部解体を終え、構造があらわになった現場を訪れて設計士や工務店と様々に意見交換をするなかで、より良い家にするため当初のリノベーションプランより間取りや仕上げが変更となることもあります。
この日は現場を訪れ、寝室の天井の仕上げを変更してはどうかという案が出ました。建物の構造や光の入り方などを再度確認し、仕上げを変えることに決定。それに伴い、寝室へとつづく廊下の天井も、雰囲気を調和させるために仕上げを別の仕様に変更。より落ち着きと風情のある京町家へリノベーションしていきます。

プロジェクト「建仁寺南の家」②

「建仁寺南の家」の現場打合せを行いました。
京都市東山区、建仁寺のほど近くに佇む家のリノベーションプロジェクトです。

建仁寺南の家/project

 

建仁寺南の京町家の窓
資料に明治時代の記録が残る古い家です。
内部解体をすると、天井や壁に隠れていた構造があらわになりました。

動線を遮るように部屋の中央に柱が建てられていましたが、内部解体により構造を確認すると柱を移動させられるとが分かったので、柱の位置を少しずらすことにしました。さらに壁を新設して、動線を確保しつつ構造を補強します。

外観は、手が加えられているため風情が失われていますが、リノベーションにより、建築当時の姿に近づけ、風情を取り戻します。

簡易なアルミの格子を取り払い、木製の格子を新しく造ります。
トタン屋根は日本瓦に葺き替えることで、周囲の環境と調和し、景観を損なわない姿にしていきます。